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はじめてをきみに
第3章 愛はやさしくない

――独占欲。そうか、あれが、独占欲。
「……すごい、どろどろしてて厄介」
「うん。でもすごい強さでどうしようもない」
「うん。好きなのに、きれいじゃない」
「うん、うん。……はじめて知った?」
「うん」
「えへ。私が教えちゃった」
茉由はとても、幸せそうだ。
「別にね、優しくなくてもいいの。……ヒロくん」
「はい」
「一緒にご飯を食べましょう」
「うん」
「一緒に笑いましょう」
「うん」
「一緒に泣きましょう」
「うん」
「たまには怒りましょう」
「うん」
「それで、ときどき『幸せだね』って、言い合いましょう。それだけ」
「……うん」
茉由の手はあたたかかった。ぎゅっと握ると、それ以上の強さでぎゅっと握り返してくる小さな手。
きみに、優しくありたいな。と、俺は、素直に、強く、思った。
きっとはじめて、心の底から。
◆

