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はじめてをきみに
第1章 きみの名前を呼ぶ

◆
新幹線で、3時間。
生まれて初めて東京に降り立った俺の感想は、「人、多っ」だった。
どこを見回しても人、人、人。
一瞬でも立ち止まったら、俺なんかただの障害物だ。背が高いから余計に。
彼女はどこだろう。
きょろきょろと田舎者丸出しで、改札を出て少し歩いたところで足を止めたら、うしろからスーツを着たおっさんに舌打ちされて悲しくなった。
けど、俺を待っていた彼女が、いち早く気づいて駆け寄ってきてくれたのは俺の背が高いからだと思うと、おっさんの舌打ちくらいは余裕でチャラになる。
俺は単純なのだ。
彼女の姿を見るだけで、こんなにもうれしい。

