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はじめてをきみに
第2章 据え膳が前のめり

……そういえば、小学生のときから遼平は泣き虫だったな。何度あたしが涙を拭ってあげたことか。


遼平は、しばらくのあいだ涙を流れるままにしていたけれど、やがてあたしに見られるのが恥ずかしくなったらしい。顔を見られないように、ぎゅっと抱き寄せてきた。


「どーしたの?」

「……おれ、亜衣が好きだよ」

「うん」

「ずーっと前から、最初から、亜衣だけが好きだよ。おれはこんな性格だし、亜衣のタイプじゃないし、高校に入ったら亜衣に彼氏できるしで、ずっと諦めようとしてたけど、でも無理だった。それで、ダメ元でいいから、もう告白しようって」

「うん」

「亜衣、おれのこと好きになってくれてありがとう。おれのこと幸せにしてくれてありがとう」

「大袈裟だなあ。まだまだこれからだよ」


思わず笑う。遼平は、ぐす、と鼻水をすすって、「そうだね」と囁いた。


「これからは、おれが亜衣を幸せにするよ」

「……うん」


幸せになろう。幸せにしよう。どこにでも転がっているようでここにしかない、奇跡のような思い合い。


あたしは遼平の背中に腕を回して、ぐす、と洟をすすった。



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