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はじめてをきみに
第2章 据え膳が前のめり

――翌朝。
「……夢じゃなかった」
目を覚ますと、あたしは遼平の腕の中にいた。触れる裸の肌のぬくもりがいとしくて思わず身を寄せると、何か独り言をぶつぶつつぶやいていた遼平がハッとしてあたしを見る。
「おはよう」
「お、おはよう亜衣」
「なにひとりでぶつぶつ言ってんの?」
「いや、夢じゃなかったんだなあと思って……」
「あたしとえっちしたこと?」
「……うん」
案の定、顔が真っ赤。と思ったら、遼平の目の端から、涙が一粒、ぽろ、とこぼれた。
まさか泣くとは思ってなかったからちょっと驚いたけれど、すぐ冷静になって、目尻の涙を拭う。

