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はじめてをきみに
第3章 愛はやさしくない
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嫉妬する男なんか見苦しい。彼女より年上ならなおさら。
彼女のことが心から好きで、彼女も俺のことを心から好いているって信じられるなら、どんなことがあったって俺は彼女を受け入れて、許して、優しくほほえんで、最後にはその華奢な体をそっと抱きしめてあげるべきだ。
穏やかに、冷静に。俺は大切なひとを大切にできる人でありたいし、今までだってそうしてきたし、だから、当然彼女に対してだってそうできると思っていた。
天真爛漫で、普通より少し無防備なところは彼女の長所だ。そういうところに惹かれたんなら、俺はむやみに彼女を責めるべきじゃない。長所と短所は表裏一体なのだ。
彼女が好きなのは俺だけだって、俺は知っている。だったら俺は、いま目の前で焦ったように「ちがうの」と繰り返す彼女に「分かってるよ」とほほえむべきじゃないのか。心から「ごめんなさい」とつぶやく彼女に、「いいよ」と答えて頭を撫でてやるべきじゃないのか。
――こんなふうに乱暴にベッドに押し倒して、噛みつくようにキスをするんじゃなくて。