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はじめてをきみに
第3章 愛はやさしくない

 茉由はやっぱり、思っていたよりためらわない。返事の直後、ぬるりとした刺激が先端を襲い、思わず息を詰める。

 愛撫は、なんともはじめてらしい拙さだった。いやらしさのない、稚拙で、純真な愛撫。茉由はこの先へ進んでいいものかと考えあぐねているのか、それともこの先どうすればいいのかが分からないのか、先端をただ熱心にぺろぺろと、キャンディでも舐めるみたいに舌先で味わっていた。けれどその拙さこそが、俺の興奮をどんどん高みへ押し上げる。

 俺が、茉由のはじめてを奪っている。


「茉由、俺の、どうなってる?」

「ふぇ、えっと、あつくて、かたい、です」

「それから?」

「それから、えっと、先っぽから透明なのが出てる……」

「じゃあそれ、舐めとって」

「ふぁい」

「それで、先っぽだけ咥えて」

「ん……」


 もうすっかり、犬のように従順だ。鈴口を抉るようにカウパーを舐めとり、亀頭をぱくりと咥える。


「つ……っ」


 無意識なのか、あまりにおいしそうに咥えてちゅうちゅう吸うので、思わず腰が揺れた。

 茉由が、心なしかうれしそうに笑う。


「きもひい……?」

「うん……、そのまま、唇の内側の柔らかいところ、当てて」

「ん」

「舌、裏筋に添えて、頭、上下に動かして、ときどき吸って、」

「ん、ふ」

「あ」


 押し殺していた声がついに漏れた。覚えが早いようだ。指示を重ねるたびに、茉由の愛撫が艶を孕む。言われたから、するのではなくて。俺が気持ちよくなるように舐め、俺を気持ちよくするために咥え、俺を果てに導こうとして吸い付いてくる。

 ねっとりと裏筋を這う舌、じゅるじゅる音を立ててくびれを刺激する唇、奥までくわえ込むたびに先端を震わせる喉。

 すごいな。もう、ぜんぶ、いやらしい。


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