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真実アイロニー【完結】
第10章 衝動的。
それから、すぐに救急箱を探して小早川の目の前に座った。
よかった。救急箱用意しておいて。
一応一通りのモノは買ってあるし。
ガーゼと包帯。消毒液。
そっと、小早川の手首に触れる。
静かにハンカチを解くと、露になった傷痕。
血が乾いて、赤く線になっていた。
「……沁みるかな」
消毒しながら綺麗にしていく。
やっぱり小早川の表情は変わらないまま。
じっと俺の手の動きを見てるだけ。
目を伏せてるからまつ毛で影が出来ていた。
白い肌と、漆黒の髪の毛。
「終わり」
触れたい衝動を隠す様に、俺はわざと明るい声でそう言った。
不格好だったけど、どうにか彼女の傷痕は見えなくなった。
その包帯が見えなくなるまでカーデの袖を引っ張ると、一言。
「ありがとうございました」
小早川はそう言った。