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真実アイロニー【完結】
第10章 衝動的。
「いいえ。それはいいけど。
どうして切る前に連絡して来ないんだよ」
「……」
「切るのはやめろって言ったのに」
「……部屋の掃除をしてたんです」
「掃除?」
反芻した言葉に、小早川は小さく頷く。
「そしたら琥珀とのプリクラが出て来て…、色々な事がフラッシュバックして。
気付いたら切ってました」
「……」
「家にいたらまた切りそうだったから、携帯だけ持って公園に…」
「それで俺に電話したの?」
「切るなって言ってくれたの、先生が初めてだったから」
「そうだったのか」
「なのに…、切っちゃった」
悔しそうに、きゅっと唇を噛んだ小早川は視線を伏せた。
その視線の先にあるのは、切ってしまった手首。
「……まだ死にたいって思うか?」