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真実アイロニー【完結】
第3章 黒く塗り潰してしまったのは。
「どうしたんですか?」
「聞きたい事があるんですけど」
「聞きたい、事?」
途端に、宇津木先生の顔が曇る。
眉根を寄せて、少しだけ体を後ろに引くと俺の次の言葉を待っているようだ。
「小早川の事で、ちょっと」
“小早川”の名前が出た瞬間、宇津木先生の眉がピクリと動く。
「……彼女の事で、何か」
冷ややかな言い方。
俺を見る目つきが、明らかに鋭くなる。
やはり、ここでは“小早川”は禁句なんだ。
「教頭先生から聞きました。
その時の事とか、どういう生徒かって教えて貰えないでしょうか」
「知ってどうするんですか?」
「少しでも学校生活を楽しんでもらいたいから、知りたいんです」
「……」
シンとなる職員室。
部活をする生徒達の声が外から聞こえた。
「……無理、でしょうね」
「え?」
それはまるで独白してる様で。
うまく聞き取れなかった。