この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
真実アイロニー【完結】
第2章 運命だとしても
赴任して来て、初めて潜る校門。
職員室で教頭と挨拶を交わし、簡単な説明などを受けた。
薄くなった教頭の頭。
それを指先でぺちぺちと叩きながら、のっそりと話す言葉に耳を傾ける。
「えー、ではこれからよろしくお願いします。早乙女、えーながひさ君、かな?」
名前が書いてある紙を、目を細めながら見る教頭に俺は笑顔で返す。
「はい、永久です。これからよろしくお願いします」
「それと、早乙女先生の受け持つクラスだけど……」
「はい?」
「あ、いや、それは後でにしよう。
体育館に急がないとな」
「ああ、…はい」
そんな教頭の様子が少しだけ腑に落ちなかったが、大して気にせず俺は先に歩く教頭の後ろをついて行った。
どこにでも何かしらあるしなあ。
ぐらいにしか、この時は思ってなかった。