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愛しては、ならない
第40章 更に抉られる、傷痕
「剛君――つよ……し……」
清崎は入学式に撮った彼の写真を指でなぞり、うわ言のように呟いた。
長い時間をかけて彼と友達になり、家へ遊びに行ける間柄になるまでに、どれだけ苦労と手間をかけた事か。
ようやく友達以上になれて、彼女になれたのに――
菊野の存在が二人の進展を阻んでいる。
だから、森本を使い二人に揺さぶりをかけているが、上手くいくだろうか。
森本までが菊野に心を奪われている。
わき上がるどす黒い嫉妬で窒息しそうだ。
「私……私は、こんなに好きなんだからっ……」
彼女は、写真を胸に抱き締めて呻くが、ふとその瞳をぎらつかせると、スマホの画面をタッチして、メールを打ち始める。