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愛しては、ならない
第6章 遊園地での賭け
剛は盆に紅茶のカップを二つ載せて片手で器用に持ち、片手でドアを閉めた。
会わない間に少し背が伸びたのだろうか。
髪を少し切った様で、切れ長の瞳と形の良い眉がくっきりと見え、彼を尚大人っぽくさせていた。
彼は軽くお辞儀をしながらテーブルにカップを置き、微かに笑った。
「こんにちは」
「――!はっはいいっ!」
見とれる様にぼうっとしていた私は我に返り返事をするが、声が裏返り、恥ずかしさで真っ赤になる。
「……えっと……西本、さん」
剛は、笑いを噛み殺している。
(いけない……また私、テンパって……
大人なんだから、落ち着かなくちゃ)
私は目を閉じて深呼吸してから、剛をキッと睨む様に見た。
「に、西本さんて呼び方は固いわ!
もっと他の……」
「……じゃあ、菊野……さん」
剛は考えを巡らせる様に首を傾げ私の名前を口にするが、私は何故か身体じゅうボンと熱くなってしまった。