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愛しては、ならない
第42章 最初で最後の……
「何で?……」
「何でって……そんなの、上手く説明出来ない……」
肩を震わせて声を詰まらせると、彼は大きく目を見開いて強く強く抱き締めてきた。
「よくわかんないけど……もう泣かないで……
もう、菊野さんを苛めたりしないから」
剛の低く透き通る声とはまた違う、彼の甘くて優しい囁きは耳に心地好かった。
私はその声に聞き惚れながら、軽く彼の手の甲をつねった。
「……やっぱり、私……苛められてた……の?」
「う――ん……まあ、そういう事だね」
「もうっ……酷い子……っ」
「ふふ……どう致しまして」
「……誉めてなんかない」
憮然として唸る私を、彼はクスクス笑ってそっと離した。