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愛しては、ならない
第42章 最初で最後の……
「菊野さん、見てて」
森本は、ポケットからスマホを出して画像フォルダを開き、例の写真をゴミ箱に入れて、ゴミ箱も空にした。
彼の指が確かに写真を削除する操作をするのを私はこの目で確認して、信じられない思いで彼を見詰める。
「森本君……」
「あ――あ、消しちゃった」
彼は背伸びをして、スマホをまたポケットにしまいこむ。
私はまだ心配で、彼の顔を覗き込んでその行動の意図を確かめるように聞いた。
「……どうして?」
「どうしてって……」
彼は、悲しそうに瞳を潤ませるが、口を開き掛けてまたつぐんだ。
私はもう一度訊ねる。
「どうして、消してくれたの?
わ……私を……抱いてない……のに」