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愛しては、ならない
第43章 こわれる
私は、剛を幸せにしたくて彼を引き取ったのではない。
自分の空っぽな部分を埋める為に、剛を……
大体が、彼を幸せにすると言っても、どんな風にすれば彼が幸福になるかなど、私に分かる筈もない。
私自身が自分の幸せが分からないのに、他の人を幸福に導くなど出来ないのではないか?
それどころか、彼を絶望のどん底に突き落としたかも知れないのに。
背中が冷たくなり、息が苦しくなる。
口に手を当てて俯く私の背中を森本が擦った。
「やっぱり、具合が良くなさそうだね……今日は無理させちゃったかな」
「そんな事ない……」
なんとか彼に笑顔を向けた時、スマホが鳴った。