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愛しては、ならない
第45章 小さな逃避行



「……っ!」



彼女は俺の首にしがみついたままで体重をかけ、被さってきた。

倒された俺は、丁度頭が剥き出しのフローリングに当たってしまい思わず「痛てっ」と声をあげる。

夕夏は申し訳なさそうに顔を歪めると、掌で俺の頭を撫でた。



「ごめんね……西本君を押し倒す事しか頭に無くて……つい」

「押し倒……って……」

「いいでしょ、減るものでもないわよ!少なくとも私は得だから!」

「いや……岬さん、まずいよ」

「まずいって、何が……?」

「――くっ」



彼女は猫の様に肢体をくねらせると、頭を撫でていた手を俺の下腹部に滑らせた。

猛って膨張したそれを握り、ゆっくりと動かしながら夕夏はチャーミングな声で囁く。



「こんなになってるのに、まずいの?」

「……み……さきっ」

「私の身体を見てこうなってるんでしょう?」

「……く……お、怒る……ぞ」



精一杯、彼女を睨み付けてみたが、逆に彼女は頬を染めて溜め息を吐いた。



「西本君のそういう顔……可愛い」



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