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愛しては、ならない
第45章 小さな逃避行
「いや……その……夕夏、俺は」
「何よ」
鋭い声に一瞬俺はたじろいでしまうが、落ち着いてゆっくりと彼女に言い聞かせる様に話す。
「俺は、愛してる人がいるんだ」
「ふうん、それが何よ」
「――何よって……」
唖然とする俺に、彼女は畳み掛ける様に言う。
「その愛してる人が、西本君に、他の女の子に触ったら殴る、とか、ちょん切るからね、とか言うの?」
「ちょんぎる……」
「私だって……私なりに、西本君を、好き……なんだからっ」
絶句していると、夕夏は小さく消え入りそうに呟き、しゃくりあげた。