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愛しては、ならない
第46章 小さな逃避行②
「西本君っ……私っ……」
快感と、憎しみと恋着の感情がせめぎ合い、意識が混濁する中、夕夏の声がはっきりと聴こえた。
俺は、腕の中の彼女に意識を集中し、突き上げながら見詰める。
髪を揺らし涙ぐみ、白い乳房を露に身体を捩り啼く彼女は美しかった。
菊野も、夕夏も同じ女だ。
なんら変わりはない。
触って感じて、蜜を溢し、強く突き上げれば乱れて泣きそうに叫ぶのも、同じだ――
夕夏がいじらしくて可愛い。その身体にも抗いがたい魅力を感じている。
だから、彼女の誘いに乗ってしまった。
言葉では躊躇する体(てい)だが、実際にはがっつくかの様に彼女を思いのままにしている。
だが、夕夏を抱いて、菊野を消し去る事が出来る気がしない。
いや、もう忘れなくてはならないのだ。
思い切らなくては。俺が。俺一人が菊野から、あの人達から離れれば良いだけの話だ。
その決心をつける為にも必要だと自分に言い聞かせるかのように、俺は夕夏を烈しく突き上げ、かき回して叫ばせた。