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愛しては、ならない
第48章 喪われた記憶と

祐樹は悟志の膝の上に乗り、悟志の耳を引っ張り必死に剛の事を思い出させようとしていた。
真歩も祐樹と一緒になって悟志の耳やら腕を引っ張ったり、脇を擽ったり、スマホに撮ってある剛の写真を見せたり一生懸命だった。
『パパ――!物忘れが酷くなるお年頃にはまだ早いでしょ――!
そっか、ずっと寝てたから、脳みそも寝てるんだね?』
『いや祐樹、パパはこうして起きてるし、呆けてもないぞ?』
『い――や、起きてる様に見えても、脳の中の……何かわかんないけど……まだグーグー爆睡してる部分があるんだよ!
今、俺が起こしてあげるよ――!
パパ――っ起きろ――!朝だよ――っ』
祐樹は、悟志の耳を掴むと思いきり叫んだ。
そのよく通る声は病棟に響き渡り、悟志は勿論、そこにいた皆が耳を塞いだ。

