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愛しては、ならない
第48章 喪われた記憶と

真歩は、背伸びをしながら欠伸した。
「あああ……なんだか、安心したりビックリしたり……疲れたわ……
私、明日早いから帰るね……また来るから」
「うん、ありがとう真歩……」
「剛さんのこと、あんまり思い詰めるんじゃないわよ?
あと、もし帰ってきたら絶対に怒ったらダメだからね!」
「うん、そうだね……」
「ほら――またそう言うグジュグジュした顔をしないの!
笑って!笑って、悟志さんとラブラブしてきなさい!
じゃあねっ」
真歩は、そう言うと元気な足取りで廊下を歩いて行く。
私は後ろ姿に手を振り、歯を食い縛る。
「うん……そうね……森本君も当たってくれてるし……
今グジュグジュ泣いてても仕方がないわ……」
「うしっ!」と小さく叫び、ガッツポーズをすると他の見舞い客が洗面所に入ってきて、私は恥ずかしくなり逃げるようにその場を去った。

