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愛しては、ならない
第48章 喪われた記憶と

ズキン、ズキンと胸の奥が痛んだ。
悟志の優しい言葉と抱擁に身を任せながら、私の心の内は罪悪感で埋め尽くされる。
――悟志さんは何も悪くない……
悪いのは私……
でも、とても罪の告白をする勇気もなかった。
あの夜、嫉妬と情欲でたぎった悟志は何処へ行ってしまったのだろうか。
私を抱き締めている悟志は、本当にあの悟志と同じ人なのだろうか?
悟志が剛を忘れた理由が、わかる様な気がした。
その推測は、とても残酷な物だった。
忘れたかったからだ。
剛に関する全てのことを。
それだけ、悟志は絶望して、傷付いたのだ――

