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愛しては、ならない
第49章 それぞれの決別


「ふああああ……」



真歩は、病院からの帰路、ハンドルを握りながら遠慮の無い大きい欠伸をする。

昼間なら、対向車の視線や歩行者の目を気にして眠気が襲っても我慢するのだが、夜だからやはり油断してしまう。



『車の中はプライベートな空間だろ?
誰が見ている訳じゃないし、欠伸したって何したって大丈夫だよ。
運転さえ安全にしてればね――』



悟志の言葉を思い出して、真歩は僅かに口の端を上げる。



「そうね……でも、もし対向車にスッゴいイケメンが乗ってたら、大口開けた間抜けな顔なんて見られたく無いもの……
女は常に気を抜いちゃダメなの!」



彼が助手席に乗っている様なつもりで彼女は隣に笑いかける。

悟志の幻が優しく微笑んだ。




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