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愛しては、ならない
第7章 遊園地での賭け②
彫りの深い目元にそっと触れて、私は悟志さんを見つめた。
初めて会った時、頼もしげな大人の人だな、と好感は持っていたが、それが異性に対する恋情になる事がないまま私は結婚したのだ。
他に好きな男性も居なかったし、両親が強く勧めていたし、結婚する条件としては悟志は最適だったのだ。
安定した収入に穏やかな性格、健康面でも問題なし。
断る理由などなかった。
「ふう……」
ひとりでに出たこの溜め息は、何の溜め息なのだろう。
時計を見ると、既に日付が変わっていた。
今日は、剛さんと外で会える――
思い出して、胸が高鳴ったが、同時にそんな自分に戸惑う。
ピアノを弾く剛の姿を初めて目にした瞬間の事を脈絡なく思い出して身体中に寒気を覚えた。
そして、悟志に烈しく抱かれている時以上に心臓が活発に動き始める。
「やだ……
どうしたの……私」