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愛しては、ならない
第49章 それぞれの決別
『……さて!始めるとするか――!』
『悟志!無謀にもこの俺に挑んだ愚行を後で悔やむがいい――!ははは』
『負けないぞおおお!!』
『ほざけ――!』
火花を散らし合う二人を菊野は不安げに見守り、花野は二人を完全に無視し、ソファに腰掛けてレースのテーブルクロスを編み始めた。
真歩はフローリングの床に紙人形を並べ、二人に『出来ました』と促す。
『おう!サンキュー真歩さん!』
悟志は白い歯を出して爽やかに笑い、貴文に向き直ると指をバキバキ鳴らしながらにじり寄った。
『さあ、どちらが先攻か決めますか』
『最初はグー!!』
二人のジャンケン勝負は白熱し三回戦にまで及び、結局勝ったのは悟志だった。
『やった――菊野ちゃーん!!』
『ジャンケン勝負に勝ったけだろう――!触るんじゃない!!』
狂喜して菊野に飛び付こうとする悟志を貴文が羽交い締めにして擽る。
『ぎゃはは……お、おと……さ……やめっ』
『おとーさん言うな――!!』
『あんた達っ!!いい加減にしなさい――!!』
いつまでもじゃれ合う二人に、花野は編み棒を投げつけて怒鳴った。