この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
愛しては、ならない
第49章 それぞれの決別
それから十分も経たないうちに菊野が顔と目を真っ赤にして寝室へと入って来たが、お気に入りのウサギの縫いぐるみを胸に抱くと、真歩と目を合わせずに
『今夜はママの所で寝る……おやすみ』
と早口で言って出ていってしまった。
唖然としていると、ドアが遠慮がちにノックされ、真歩は返事をする。
『菊野?戻って来たの?』
ドアの外に立っていたのは悟志だった。
真歩はドキリとして、思わずパジャマの前を合わせるが、悟志は部屋の中に視線を泳がせてボソリと言った。
『菊野……ちゃんは』
『ああ……なんか……花野さんの所で寝るって』
『そう……』
肩を落とし俯く彼に真歩は気になって聞いてしまう。
『ねえ……どうなった……の?』