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愛しては、ならない
第49章 それぞれの決別
心臓が口から飛び出しそう、と言うのはこんな感じなのだろうか。
心臓そのものがひとつの意思を持った別の生き物みたいに勝手に暴れ、真歩を苛む。
頬が熱を持って、多分今自分は真っ赤になっている。
何人かの男の子と付き合ってきたし、キスもセックスも知っている自分なのに、悟志が真っ直ぐ見詰めるだけでこんなにドキドキするなど、嘘みたいだった。
彼の掌が、頬に触れた瞬間、弱い電流が流れた様にピリッと痺れる。
真歩の頬の感触を確かめる様に彼は掌を何度か往復させ、顔をゆっくりと近付けてきた。
彼の息が耳にかかり、甘い疼きが身体中に走る。
思わず瞼を瞑ったその時、額に冷たい感触が触れ、直ぐに離れた。