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愛しては、ならない
第49章 それぞれの決別
目を開けられずに身体を固くしていると、頭をグリグリと拳でなぶられ、痛くて声を上げてしまった。
『い、いったーい!』
叩こうと拳を握るが、悟志が僅かに頬を染めて笑っている顔が目の前にあり、胸を撃ち抜かれて動けずに固まる。
彼はクスクス笑って、真歩の額にデコピンした。
『い、痛い痛いっ……何よ――!慰めてあげたのにっ』
『うん……ありがとう』
『……っ』
悟志は、真歩の頭を優しく撫でた。
『考えてみたら、僕は、菊野ちゃんに気持ちも伝えてないんだ……』
『えっ』
『……そんな奴から……キスを迫られたって……断るよな……普通』
『……』
真歩は、まだ収まらない鼓動を持て余しながら彼を見上げる。