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愛しては、ならない
第49章 それぞれの決別
悟志はその夜、菊野にプロポーズした。
彼の必死な求愛に、菊野もとうとうほだされ、了解した。
やはり、聖なる夜に求愛されるというシチュエーションが良かったのだろう。
だが、それからも二人の交際は清いままだったらしい。
婚約したも同然だったのだが、菊野が卒業する寸前に、一応「お見合い」の席を設け、そこでまた正式にプロポーズをする、という形になった。
そんな面倒な事を何故したかと言うと、貴文が頑として「なんだかよくわからないまま結婚へなだれ込むのは良くない――!!」
と騒いだからなのだ。
貴文は、自分の見ている前で、悟志が菊野にキチンとプロポーズをするのを見届けて安心したかったらしい。
悟志は真歩への態度は今までと全く変わらないままだった。
真歩の示した精一杯の気持ちを、彼は果たして気付いているのか、分からないまま――