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愛しては、ならない
第49章 それぞれの決別
だが、剛を養子に迎えたい、と菊野が言い出した頃から、明らかにあの二人のバランスは変わった。
自分を抑えて、菊野を父親のように見守りながら包んでいた悟志が焦り始めた。
『菊野と祐樹と三人で幸せに暮らしている、と思っていたのは僕だけだったのかな……
だから、他に子供を引き取りたいなんていうのかな……
菊野は、子供がもう一人居ないと、足りないのかな……』
彼は寂しそうに真歩に溢した。
真歩はそんな時、『ふふ、じゃあ、悟志さんも私を愛人にして、もっと幸せになってみる?
そうしたら……悟志さんも足りるかもね?』
と冗談めかして言ってみた。
だが悟志は朗らかな笑顔でかわすだけだった。