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愛しては、ならない
第50章 それぞれの決別②
「ご迷惑掛けてすいませ――ん」
森本が、真歩の車の後ろに停車しているドライバー達に頭を下げ、運転席に座り車を発進させる。
踏み切りを渡りきり、その先の待避スペースに停車し、ハザードを点灯して降り、道の脇で清崎と座り込む真歩に声をかけた。
青い顔で震える彼女達に、森本は顔をしかめて説教する。
「全く、本当におねーさん、牽かれてぺっちゃんこになったかと思いました」
「もうっ……私が飛び込むのを止めるとか言って……なにしてんですか」
「てへへ……」
真歩は震える手を握り締めて頬をひきつらせ笑った。
電車が真歩の1メートル程前を通過し、腰が抜けてしまった彼女を森本と清崎が二人がかりで運んだのだった。
「てへへじゃないですよ~!ミイラ取りがミイラになる所だったじゃないですか」
「あはは……少年……うまいっ!座布団――!」
「ばっかじゃないの」
清崎がボソリと呟き立ち上がるが、真歩が腕を掴み止める。
「少女よ、何処へ行くっ」
「――帰るのよ!」
「本当にっ?……家で首つったりとか、手首切ったりしないでしょうね――っ」
「しないわよっ!……なんか馬鹿馬鹿しくなっちゃった」