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愛しては、ならない
第7章 遊園地での賭け②
「さあ――じゃあ行きましょ行きましょ――!
一日はあっという間に過ぎてしまいますよ――!」
祐樹は、花野ばーばの口癖を真似て、剛の手を握ったまま引っ張る様に走り出した。
「ゆ、祐樹……
ちょっと待って」
私は、手を振る園長に頭を下げて慌てて二人の後を追い掛けた。
バス停に向かう道程に、祐樹の鈴を転がす様な笑い声が響く。
そよいだ風が剛の髪を揺らし、時折その目元が顕れるが、何を思っているのか、は読み取れない。
だが、直感で分かってしまった。
剛が祐樹に向けた笑顔――
あれは、作り物なのだと。