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愛しては、ならない
第51章 ナイトメアの後で
夕夏のぷくっとした唇が戦慄き、充血した瞳は俺を見詰めてまた涙を溜めていた。
『な、なんでそんなにあっさり口に出せるのよっ……私……恥ずかしくて……
私の事を……なんとも思っていないからそんな風に言えるんでしょう?』
『夕夏……君の方から誘惑してきたんだよ?
なのに……恥ずかしいとか……よく分からないな』
『そうだけど……っ』
『――今だけ、私の事を好きになってくれればいいって……そうも言ったよね』
『……そ……そうよ……そうだけど』
彼女はグッと詰まり、唇を噛む。
その唇を指でそっとなぞり、俺は静かに言った。
『悪いけど……俺は、今だけ好きにだとか、器用な事は出来ない』
『――』
彼女の顔が青ざめ悲壮な表情になるが、俺が更に言葉を続けると、その頬は再び赤く染まっていく。
『セックスの最中に言った言葉は……本当だよ』
『つ……よしく……』
『夕夏の声も、喋り方も、顔も、身体も好きだよ』
『か、か、身体って』
夕夏は口を大きく開けて固まる。