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愛しては、ならない
第51章 ナイトメアの後で
夕夏の優しさに甘え、その魅惑的な身体に溺れて、菊野の事を忘れられると思った。
実際に、彼女と身体を重ねている時には菊野との事や、家の事は一切頭になかった。
菊野への気持ちを自覚してから、常に彼女の事が頭の中に住み着いていたのに、夕夏の不思議な暖かさはそれを忘れさせてくれた。
そして、俺も夕夏を好きだと思った。 好きになれると、愛せると思ったのだ。
もう大丈夫だ、と思ったのに……
夢の中では、自分の正直な願望や欲望が包み隠される事なく顕れるのだろうか。
俺は、菊野に果てしなく焦がれ、欲情して、彼女の身体を貪り尽くそうとしていた。
隣で眠る夕夏が寝返りを打ち、無意識に俺の背中に抱き着いてくる。
その温もりに、罪悪感と、自分への侮蔑が沸き上がる。