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愛しては、ならない
第51章 ナイトメアの後で



掌の中で、膨張した獣がビクンと痙攣した。

夢の中では菊野の身体に何度も打ち込み欲を思う様放ったが、実際に果てた訳ではない。熱がこもった獣は、白濁を吐き出したがって焦れていた。

俺は瞼を閉じて右手を動かし、自分で自分を導こうとする。

動かす度に堪らない快感が脳天へ突き抜けて、声を漏らしてしまう。



「く……はっ……」




だが、瞼の裏に菊野の妖艶な肢体が浮かび上がり、俺は手を動かすのを止めて歯を食い縛る。

菊野を思い浮かべながら自分を慰めるなど、したくなかった。

もう、彼女をこの腕に抱く事は無いのだ。もう、愛する事は無いのだ。

だが、頭の中で菊野は妖しく、魅惑的に身体をくねらせて俺を誘い、甘い声で俺を呼ぶ。



――剛さん……私を……滅茶苦茶にしていいわよ……


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