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愛しては、ならない
第51章 ナイトメアの後で
――剛さん、ひとつ考えがあるんだけど――
不意に、花野の言葉を思い出して、俺は元より自分の中にあったある考えが、はっきりと形を成していくのを自覚する。
西本の家に来たその日から確かにあった違和感。
突き詰めて考えてしまうと、具体的な答えが見つかってしまいそうで、俺は考えるのを避けていた。
だが菊野を愛して深い関係になり、その愛も終わり、悟志が目覚めた今。
答えはひとつしか無いように思えた。
俺が居たら、あの家は壊れる。
俺が、壊してしまう。
そうなる前に――跡形もなく壊してしまう前に、俺は……
俺は、気が付けば両の拳が真っ白くなる程に強く握り締めていた。