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愛しては、ならない
第53章 最後に、もう一度だけ②
急激に身体に重さが加わり、俺は彼女の上に被さって息を整えようともせずに口付けた。
小さな舌が俺の舌に一瞬絡まったが、すぐに離れてしまう。
身体中の力が抜けて無くなってしまった様に、彼女は身体を投げ出して呆然と俺を見詰める。
乱れた髪を指で掬いとり、口付けて彼女を見詰めた時、その瞳の中に熱い焔が見えたような気がしたが、彼女はフイと横を向いてしまう。
「行かないで、と、もう言ってくれないんですか……?」
「……わ、私」
「……何です」
彼女の唇が躊躇うように開いたり閉じたりを何度か繰り返すが、一度唇を結び、再び開き、こう言った。
「ゆ……祐樹と同じ顔の貴方に……抱かれるのが……も……気持ち……悪い……の」
「……」
その一言に、俺の全身から血の気が引いていった。