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愛しては、ならない
第54章 四年後
「あの顔をされるとなあ……もうそれ以上何も言えないよな」
祐樹は、ペットボトルを全部飲み干して空の容器を片手でクシャリと潰すが、玄関の外で郵便のバイクの音がして、ポストに何かを入れる乾いた音がし、玄関のドアを開けて中を確かめる。
悟志宛の暑中見舞いのハガキ、化粧品メーカーからのダイレクトメール……
何通かの手紙の中、祐樹の目をひく物が一通あった。
剛の通っていた高校の同窓会のハガキだ。
しかも、最初に少し行っただけの方の高校の。
手に取り、思わず呟く。
「……一ヶ月も行かなかった学校の同窓会なんて……あいつ行くかなあ」
祐樹は、ハガキを握り締めて家の中へ入り、スポーツバッグに着替えやスマホ、充電器等を素早く詰めると戸締まりをし、家を出た。
泊まりに行く良い口実が出来た、とばかりに祐樹は足取りも軽く、鼻唄交じりに彼の住む街へと出掛けていった。