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愛しては、ならない
第54章 四年後



剛は、眠そうに欠伸を一つして、伸びをする。



「恋人でも無いのにメールを一日30通だぞ?……家の前で何度も待ち伏せされたし……
警察に相談してもいいレベルさ。
それをチャラにしてやる代わりに烈しくイカせてやったんだから……あの女にとっては願ったり叶ったりだろうよ」

「……普通に警察に言えばよかったじゃん……お前さ、やりたかっただけじゃないのか?」



祐樹が呆れて言うと、彼は冷たく笑った。



「まあ、そうかもな」

「う――わ――!さいて――」

「何とでも言え……俺は女は嫌いだ」



引きまくる祐樹の頭を軽く小突き、彼はリビングのテーブルの上の青い紙袋を手に取って見詰めた。

祐樹はその紙袋に見覚えがあった。

記憶をたどり思い当たると、あっと声を出しそうになる。

菊野がクッキーを焼いてあの袋に詰めているのを祐樹は見たのだ。



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