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愛しては、ならない
第54章 四年後
菊野は、片付けに来ながら、作った菓子を持ってきては置いていくらしい。
甘いものが好きな剛の為にしているのだとは思うが、いつも大量に作りすぎては祐樹に注意されるのだ。
「母さん……幾らなんでも、クッキーを100枚だとか、この夏場にこんなに食える訳がないだろ?」
「うう……そうよね……いつもそうなのよね……なんか、気が付くと沢山作っちゃってるのよ……」
項垂れる菊野に、悟志が目尻を下げて「いいんだよ菊野!僕が食べるからね!菊野の作るお菓子は最高だからな~」
と言うが、祐樹はバッサリと反論する。
「父さん……健康の事を考えてよ。いつまでも元気なつもりでもさ、年齢的に色々とリスクが高いだろ?
母さんの作るものを全部平らげてたら糖尿やら高血圧になるって」
「……そ……そうよね……私ったら……みんなの身体の事を考えなくちゃならないのに……」
「祐樹――!そんなリアルにグサッと来る事を言うなんて酷いぞ――!」
菊野と悟志は、祐樹の言葉に青ざめて狼狽える。
そんなやり取りが、まるでお約束の様に西本の家では毎日の様に繰り広げられているのだ。