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愛しては、ならない
第54章 四年後
祐樹は中学に入ってからは花野の紹介した若い教師の元へ習いに行っていた。
花野の所でずっと習うつもりだった祐樹は初めは戸惑ったが、音大を卒業した確かな腕前の教師に教われる事に、とても自分は恵まれていると感じていた。
花野も大学で音楽の勉強をした経験はあるが、音大を出た訳ではないので、祐樹を更にレベルアップさせるには自分には荷が重いと思ったらしい。
実際、花野は他の生徒の面倒を見るのが忙しくて、手が回らなくなって来ていた、という事情もあった。
今の教師も人間的にも、技術的にも師事するのに申し分ないのだが、祐樹は時折無性に花野のアドバイスを欲しい、と思うことがあるらしい。
花野と祐樹との間には、小さな頃から不思議とシンクロする何かが確かにあるらしく、一緒に居ると理屈抜きに安心するらしい。
だが、祐樹も最近は照れ臭さから、祖母に頼る事が「カッコ悪い」と感じてしまうようになり、花野に自ら教えてもらいにいく事はなくなっていた。