この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
愛しては、ならない
第55章 ウエデイングブーケ
真歩は雲居(くもい)という農家の息子らしかぬ茶髪で細身の優男で、五つ年下の男性に共同生活最終日に告白されたのだが、真歩は
「ごめんなさい」と断ったのだ。
雲居と真歩は、番組を見る限りではとても良いムードで、雲居は雲居で「真歩さんの過去の事は何も関係ありません。俺が絶対に幸せにしますから」
と言って、真歩もその台詞に涙ぐんだりしていたのだ。
ありがちな台詞といえばそうかも知れないが、番組の中で二人が夜ログハウスの屋根の上に登って、満点の星を眺めながらだったので、そのシチュエーションに私もきゅんとしてしまったのだ。
中々実際には経験できそうで出来ない愛の告白なのではないか、と当時はネットでも話題になったのだ。
他にも日常での二人の何気無い会話がとても良い感じだったので、私は当然二人はくっつく物だと思っていた。
なのに、予想を裏切る結末に思わずテレビ画面に向かって「えええ――」と叫んでしまった。
番組は予想外の反響だったらしいが、人気のあるうちに手を打とうとするのがメデイアだ。
「農家男子と結婚したい」のシーズン2が三ヶ月後、週一で1クール放映されたのだ。