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愛しては、ならない
第56章 二十歳の同窓会
もう、二度とあの時間には戻れないのだ。
俺自身も、彼女も変わってしまった。
いや……変われずにいるのは俺だけなのか。
四年前のあの日、俺は彼女を烈しく抱いて、これが最後なのだと自分に言い聞かせた。
滅茶苦茶に、思う存分に彼女を抱けば、気がすんで忘れられるかも知れない――そう思ったのだ。
だが、彼女に会わない日々は、彼女との想い出を、彼女の面影を、より濃くしていくだけだった。
他の女を抱けば、この身体に残る菊野の記憶も薄まっていくに違いない――そう自分に言い聞かせ、期待しながら、言い寄ってくる女たちと身体を重ねた。
だが、欲が満たされても、心は渇いていく。
菊野と抱き合った後に感じたとてつもない幸福感や切ない程の狂おしい愛しさを、彼女たちには見いだせなかった。