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愛しては、ならない
第57章 二十歳の同窓会②
「……いや、関係あるね」
奴は切れ切れに呟くと、首を絞められらがらも両の手を固めた状態で俺のがら空きの腹に強烈な一撃を繰り出した。
「――ぐあっ」
俺は奴から手を離し、崩れ落ちた。
降り続く霧雨は俺の髪を濡らし、前髪から滴が落ちるのが見える。
森本もフワフワの栗色の髪が湿り頬に貼り付き、まるで別人のように鋭い印象だ。
彼の全身からは怒りのオーラが立ち上っているようだった。
――何故お前がそんなに怒るんだ?
お前は菊野に愛されたんだろう?
だから菊野は俺を捨てたんだろう?――
立ち上がろうとした時、森本が俺の腕を掴みねじ上げ地の底を這うような声を出した。
「……今殴ったのは……晴香の分だ……ちゃんと別れを言われないまま、お前がいなくなって……あいつがどれだけ悲しんだか、分かるか!」