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愛しては、ならない
第57章 二十歳の同窓会②
「く……っ」
痛みに呻く俺にニヤリ、と奴は笑い、更に強い力を加える。
「く……こ……このっ」
引っ張られる痛みを堪えながら奴を睨み、唇を噛んで心の中で毒づく。
――この野郎。昔はいつもヘラヘラした顔しか見せなかったくせに。
やっぱり本性を隠していたか。
この蛇男めが――
言わなくても悪意は伝わるのだろうか。奴は可笑しそうにくつくつ笑って腕の力を弱める。
「……俺、相当お前には嫌われてるみたいだね……まあいいよ。
さて、本当なら、菊野さんの仇を取る為にお前の腕の一本か二本折ってやろうかと思ってたけど……それやったら菊野さんが泣くからなあ……」
「――仇って……何の事だ」
「決まってるだろ……お前の事だよ……お前は菊野さんを深く傷つけたんだ」
「――!?」
俺と奴の間に火花が散った瞬間、遠くで雷が鳴った。