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愛しては、ならない
第8章 遊園地での賭け③
「剛さんと私、同時にスタートして、一秒でも早く出た方が勝ち!
ただし、走ったら失格!」
「あの……」
戸惑う剛に、私は震える自分の手を握り締めながら言った。
「私……
本気で、剛さんに家族になって欲しいの……
だから……だからっ……」
「ママ……」
祐樹は私の背中にしがみついて心配する。
祐樹の手に、自分の手を重ねてギュッと握り締めた。
「祐樹は、お化け屋敷の前のベンチで待っていてね?
……大丈夫、ちゃんとママ、出てくるから」
私は、屈んだまま祐樹を抱き締めると、剛を見上げた。
「私が勝ったら……
剛さんは、うちに来るの!
いいわねっ?」
剛の涼やかな瞳は、何を思っているのかは読み取れそうになかったが、やがて、彼はゆっくりと頷いた。