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愛しては、ならない
第58章 再会
――剛さんが……剛さんが、私に会うために?
私に会うって、何故?
同窓会を抜けてまで私に会いに来る理由って何?
ずっと避けていたのは剛さんじゃないの?
私は……私は、いつも心のどこかで(こうして私が掃除に来ている時、剛さんがそれを承知して帰って来るかも知れない……)
と、何処かで期待していた。
そんな下心を誰にも言ったことはないけれど……
彼のベッドのシーツを洗い庭で干しながら、シャボンの香りは洗濯したシーツから漂うのではなく、ひょっとして剛が帰ってきているのでは――という錯覚に囚われて玄関まで走っていき、当然彼の姿は無く落胆する、と言う事もあった。
会いたくて、その声を聞きたくて……ずっと待っていたのだ。
彼を忘れる努力をしているつもりでいながら、実は私はずっと剛を待っていた――