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愛しては、ならない
第58章 再会
「ウソ……そんなの……ウソよ」
唇がわななき、声もスマホを持つ手も震えていた。
この震えは、困惑から来るものではない、と私には分かっていた。
私は今、どうしようもない程ときめいていた。
――剛さんが……私に会うために……帰ってくる――
ときめきが身体の震えだけでなく、私の頬も熱くしようとしたその時、また稲光で部屋が包まれドーンという轟音が響き、私を正気に戻す。
――待って……そんなの駄目よ。剛さんと今二人きりで会ってしまったら私はどうなってしまうかわからない。
今朝、仕事へ出掛ける時にされた悟志の口付けを思い出して指で唇に触れ、私は首を振った。
「駄目よ……ダメダメダメ……わ……私、会えない……」
『会わなくちゃ駄目です。そうじゃないと、剛はいつまでも菊野さんとの事を引き摺ったまま、踏み出せませんよ』
森本の言葉に絶句した時、玄関のドアが開く音がして、全身が総毛立った。