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愛しては、ならない
第59章 再会②
菊野の唇がピクリと動き、何かを呟いた様に見えたが聞き取れず、俺はその紅い唇を見つめた。
瞬間、身体の真芯に火がついた様にカッとなったが、目を逸らし深く息を吐く。
――がっついてはダメだ。怖がらせたくない。
今日は、菊野と話をするんだ……大切な話を。
俺は無理矢理自分を宥め、猛りそうな身体を抑えようとした。
「う……ん……」
四年ぶりに聞いた彼女の声は、鼓膜から入り込み、媚薬の如く俺を蕩けさせた。
どうして、俺は貴女から逃げていたのだろう。
どうして、こんなに可憐でいとおしい貴女に会わずにいれたのだろうか?