この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
愛しては、ならない
第59章 再会②
瞬間、悟志の瞼の裏側から得体の知れない何かが入り込み、物凄いスピードで身体中を駆け巡った。
吐き気が込み上げて踞るが、出るのは低い呻き声だけだ。
ぼんやりと、彼の胸の中に巣食っていた不可解な嫉妬が、ハッキリと輪郭を現し、その正体を彼はとうとう知った。
「……つ……剛――っ……四年……経ってもお前は……菊野を――」
力の入らない腕でもがいていた彼はソファからずり落ちて床に倒れた。
「思い出したぞ……っ……剛……お前には……菊野を……渡さな」
僅かに残る力を振り絞り、落としたキーを右手で掴んだその時、悟志は意識を手放した。