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愛しては、ならない
第60章 静まらぬ嵐、吹き荒ぶ恋
「……うん……まろやかですね」
ワインを一口含み、彼の喉仏が上下するのをじっと見てしまい、彼が無自覚に放つ色気に目眩を起こしそうになってしまう。
私は恥ずかしさもあって、一気にグラスを空けてしまった。
剛が驚いた様に見ているが、私はグラスを傾けて二杯目をねだる。
彼よりも少しは大人の所を見せてやらなければ、とおかしな意地がもたげてきたのだ。
剛は小さく笑いながら、首を振った。
「そんなにペースをあげて大丈夫ですか?」
「らいろーふらもん」
「ほら、もう呂律が怪しいじゃあ無いですか」
「よっれらいもん」
「酔っぱらいが必ず言うことですね……いけませんよ、飲みすぎは」
「む――‼らいろうふらもん……つ……剛しゃんこそ……よっれないの?」
ムキになりキッチンのカウンターを掌でバシバシ叩く私を笑いながら、彼は小さく言った。
「俺は平気ですよ……少なくとも菊野さんよりは強いです」